コロナ禍において経済的ダメージという側面がクローズアップされますが、その反面あらたに進化を遂げるテクノロジーもあります。さまざまな分野において、「非接触」によるサービス提供が普及しているのです。
そこでコロナ禍において非接触テクノロジーはどのように変化しているのかをみていきましょう。
ホテル業界における非接触テクノロジーの進化
ホテル業界ではこれまで、「シームレス」をキーワードにサービスが進化してきました。そしてコロナ禍においてはさらに、「コンタクトレス」や「タッチレス」へとテクノロジーが変化しています。
これまでは少ない人材でサービスの質を向上させるために、「シームレス」をキーワードにさまざまなテクノロジーを導入してきました。たとえばデジタルでのチェックインやルームキーなど、顧客がセルフで利用できるものがあります。
これが結果的には「タッチレス」につながりました。
コロナ禍においてさらにタッチレスを徹底するため、ホテル業界ではあらたなテクノロジーの変化がみられます。そのひとつに、Vouch社が提供する「デジタル・コンシェルジュ・システム」があります。
これは顧客が客室の電話を使ったり、あるいはロビーで直接質問したりする必要がなくなるサービスです。
顧客は自分の携帯端末から「ボット」にアクセスするだけで、タオルの追加やルームサービスの注文ができます。さらにこのボットには、具合が悪くなった顧客の健康状態をトラッキングできる機能も備わっています。
非接触でのタッチ操作テクノロジー
まるで映画の世界を実現するように非接触テクノロジーは変化しています。大手回転寿司チェーンの無添くら寿司では、空中に浮かぶ操作パネルの実証実験を開始しました。
これはお客がタッチパネルを触ることなく、空中に投影された操作パネルに指先を触れることで、商品の注文ができるというものです。
この非接触型タッチパネルは、ふたつの技術によって実現します。ひとつは、物体の光線を特殊構造のガラスプレートに通過させて、空中にタッチパネルを結像させる技術です。
もうひとつは指の位置を検出する「センシング技術」で、このセンサーにより操作が可能になります。
バーチャル空間で実現!デジタルヒューマン
デジタルヒューマンとは、人間の身体の仕組みや動きをデジタル化して解析し、バーチャル空間であたかも実在する人間のように動きを再現するものです。
デジタルヒューマンはこれまで、主に製造業で活用されてきました。たとえば、ドアを開閉して乗り降りする人の動きをモーションキャプチャでスキャンすることで、コンピューター上にデジタルヒューマンとして再現できます。
そのデジタルヒューマンが、微妙に角度を変えながら何百回と乗降テストを実施します。そのようにして蓄積したデータを解析し、車両でのドアの操作性や乗降性を向上させています。
コロナ禍においては「非接触」を可能にするテクノロジーとして、デジタルヒューマンは他の業種からも注目されています。たとえばアパレルブランドのGUでは、CGによる再現とAIを組み合わせたバーチャルヒューマンの「YU(ユウ)」をモデルとしてデビューさせました。
さらにビジネスの現場では、デジタルから実態のある分身ロボットとしての活用が進んでいます。たとえばオリィ研究所の分身ロボット「OriHime」は、オフィスで分身ロボットを自分の代わりとして会議に参加させることができます。
洋服の採寸も非接触テクノロジーで変化
洋服の採寸も、デジタルサイジングツールによって接触することなくできるようになっています。
フィット:マッチ(Fit:Match)社が提供するサービスでは、顧客が身体をスキャンしてサイズを測ることができます。そのデータをもとに、提携ブランドの商品のうちサイズに合うアイテムがデジタル表示されるという仕組みです。購入品は各ブランドの店舗の外で受け取れます。