スマートハウスとその市場は、世界的に進んでいます。
世界市場規模は、2015年から2020年にかけて約5倍に増え、10年後の2030年にはさらに10倍まで伸びると予測されています。
日本でも、スマートスピーカーに象徴される「スマート家電」が普及するなど、身近なものとなってきています。
とはいえ、スマートハウスの定義や指標って、なんとなく曖昧なイメージがありませんか?
今回は、進化するスマートハウスの詳しい中身について説明していきます。
スマートハウスは5段階に分けられる
ハウジングジャーナリストの河名紀子氏によると、
- 第1段階:東日本大震災以前から導入が進んでいた「省エネ住宅」
- 第2段階:太陽光発電や家庭燃料電池が加わった
- 第3段階:震災を機に急速に導入が進んだ蓄電池
- 第4段階:HEMSが加わり、家庭内のエネルギー消費の「見える化」が進む
- 第5段階:家電制御の開発
という5段階に分けられます。
スマートハウスは2021年4月現在、第4段階「見える化」から第5段階「家電制御の開発」に移行しているところです。
HEMSとZEH
スマートハウスの進化過程で重要なキーワードが「HEMS(ヘムス)」と「ZEH(ゼッチ)」です。
HEMSとは?
HEMS=ヘムスとは「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム」の略で、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムのことです。
家電や電気設備とつなぐことで、電気やガスなどの使用量を「見える化」したり、「自動制御」したりします。
内閣官房 国家戦略室が平成24年に策定した「グリーン政策大綱」によると、2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目標としているそうです。
ZEHとは?
ZEH(ゼッチ)=ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとは、「エネルギーを自給自足できる家」のことを言います。
自宅で太陽光発電などの電力を、蓄電池として自宅で消費し余れば売電するという一連の流れがZEHの定義です。
電気を自給自足するメリットは経済面だけではありません。
最大のメリットは、災害時の備えです。
メーカーによって違いはありますが、だいたい10日分の電力を確保できるので万が一の災害とその後の停電があっても安心です。
とはいえ、ZEHには
といった課題もあります。
ZEHの課題解消とともに、スマートハウスもより進んでいくことでしょう。
スマートハウスで社会がより人に優しく
AIと家がつながることでスマートハウスの進化すると、人の生活はどのように快適なものとなるのでしょうか?
具体的な例をご紹介すると、ビルトイン機能が搭載されたスマートミラー=鏡と、体重計との連携です。
体重などのデータに加え、鏡に映った姿をデータとして蓄積され、AIが分析しユーザーの体調を自動でチェックしてくれます。
もし体調に異常があったとしたら、AIが「病院にいかれてはどうでしょう?」と問いかけてくれます。
この時点で、病院で行う「問診」レベルの診療が完了していて、あなたが病院に到着する頃には医師が療法や処方箋を済ませてくれる、といった機能です。
診療や待つ時間が削減できますし、本人の自覚症状だけでなく、AIの分析に基づくデータもあるので、これまで以上に的確な診療も可能となることでしょう。
以上のような、「見える・聞こえる化」と「AIとデータ集積」の連携があらゆる分野で活用されることが予想されます。
スマートハウスの進化は加速する
AIとの連携、「見える化」により、スマートハウスは着実に進化しています。
解決するべき課題も残されていますが、私たちにとっていよいよ身近なものとなり、生活の一部となる日も近いかもしれません。
加速度的に進化するスマートハウスのテクノロジーに今後も注目です。